蔵持山案内資料

蔵持山案内資料:犀川町「蔵持山修験道遺跡」パンフレットより

犀川町指定文化財:蔵持山修験道遺跡

panf01
「蔵持山修験道遺跡」の概要
指定種:記念物(史跡)
数 量:古来「山領18丁(約2km)四方」などと称されるが、指定域は上宮・祝詞殿域と参詣道(南関門〜祝詞殿)等の中心地2ヶ所
所在地:福岡県京都郡犀川町大字上高屋177番地ほか
所有者(管理者):宗教法人 蔵持山神社
指定年月日:平成10(1998)年11月26日
成立年代:平安時代なかば頃(約1100年ほど前)か
法 量:祝詞殿・上宮・参詣道を中心とした約2900平方メートル
特 徴:自然との調和を目指す修験道の精神を表している。

panf02

蔵持山修験道遺跡へのアプローチ(行橋市からの場合)と留意事項
(1)ルート別登山道
●高屋口からの登山の場合
JR行橋駅→(平成筑豊鉄道:20分)→犀川駅→(自動車:10分)高屋口→〈自動車:10分)→蔵持集落→(徒歩:30分)→祝詞殿
●伊良原口からの登山の場合
JR行橋駅→(自動車:40分)→高座集落(伊良原口)→(徒歩:30分)→祝詞殿→(徒歩:20分)→上宮→(徒歩:5分)→国見台・稚児落
(2)留意事項
・所要時間は目安です。詳細を知りたい場合はお問い合わせください。
・各登山口とも十分な駐車スペースがありませんのでご注意ください。
・史跡内は霊山ですのでゴミの始末・火の用心等十分心がけてください。
・史跡内施設は現在でも利用されていますのでマナー遵守をお願いいたします。

蔵持山修験道遺跡に関するお問合せ
犀川町教育委員会:電話(0930)42-1365 FAX(0930)42-2512
panf03

蔵持山修験道遺跡へようこそ
■1.蔵持山の自然と地理
蔵持山は標高478mで犀川町のほぼ中央に位置する富士山型の美しい山です。いくつかの小河川の源流であるとともに、英彦山山地の北端であることから「北九州の屋根」への入り口と位置づけられる山です。
山のほとんどが花崗岩からなりますが、南西部に角礫凝灰岩の層が広がり、この一帯には耶馬渓(やばけい)に見られるような奇岩・怪峰・断崖・洞窟が発達して、付近の森とともに霊山としての雰囲気を醸し出しています。

panf05

静暹の法力を語る奇跡「飛鉢法」(国宝・信貴山縁起絵巻から)

panf06

往時の繁栄がしのばれる伝来の懸仏(福岡県指定有形文化財)

■2.蔵持山のあゆみ

この山はその自然環境ゆえに古くから人ならぬものの住みかと考えられ、信仰の山としての歴史をたどりました。
平安時代には超人僧・静暹(じょうせん)によって修験道場として開かれ、皇室とも結びついた近くの権門・英彦山の末山となりました。
鎌倉時代以降は隣の城井に下向した関東御家人・宇都宮氏の干渉とのバランスをとりつつ中規模霊山として栄えたようです。

しかし、パトロンでもあった両者が戦国時代末に衰退してからは運命を共にしますが、江戸時代に入り京都平野(みやこへいや)を中心とする広範な地域の人々の信仰を獲得して自立に成功、再び小さな繁栄を取り戻します。
300年近い平安の後、明治に入って修験道禁止令・廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)・大火・過疎等の人災により山は急速に衰退し現在に至っています。

■3.蔵持山のみどころ
信仰の山としての千年以上の歩みは、この山に次のような特色とみどころを作り出しています。
(1)ひとつひとつのポイントから見た山の魅力。みどころベスト10
1)上宮(じょうぐう)
山中最高所の聖域、かつての巨大杉がこの地を守りました。
2)国見台(くにみだい)
祓川流域や瀬戸内海が一望に見渡せます。
3)稚児落し(ちごおとし)
英彦山・犬ヶ嶽をはじめとする北豊の霊峰群を一望できます。
4)窟群(いわやぐん)
蔵持四十九窟とも呼ばれる山伏さんたちの修業の場です。
5)旧大講堂(きゅうだいこうどう)
現祝詞殿、かつて様々な修験の行事や祭礼が行われた場所です
6)旧北山殿(きゅうきたやまでん)
現祖霊社。昔から山中の人々の御霊が祀られる場だったようです。
7)坊住跡(ぼうじゅうあと)
山伏さんたちの住宅街。整備された姿は注目です。
8)石畳道(いしだたみみち)
むかしの「舗装道路」。かつての賑わいがしのばれます。
9)墓地(ぼち)
山伏独特のスタイルのお墓が遺され、今もお参りされてます。
10)耕地跡(こうちあと)
農業を兼業した蔵持山伏のライフスタイルを物語ります。

panf04

(図:山の地図:大、史跡番号付)

・山伏流「蹴上りの石段」

左から・山伏流「蹴上りの石段」、巨巌下に鎮まる旧北山殿、山の語り部・神木「大杉」

(2)全体を見通した時の山の魅力
この山は全山が修験道にちなむ遺跡であり、近世以前の姿をそのまま現在に伝えていることが大きな特色です。しかもこれらの遺跡は蔵持山伏が拠り所とする天台密教の世界観=「四土」(しど:俗人から仏へ至る4種の悟りの世界)観念を反映した構成がうかがえ、修験道で重視される自然への畏敬・自然との共生の知恵を具体化したものとして注目されます。

四土観念をもとにした山の姿を表す絵図(「福岡県名所図絵図録」より)

四土観念をもとにした山の姿を表す絵図(「福岡県名所図絵図録」より)